[blog]TA3MEMO
わたしにそんなこと聞かないでくれ。わたしは記憶の断片を拾い集め、過去の痕跡を追い求めつつ、故郷を探す旅の途上にある、ひとりの難民なのだから。
―ジョナス・メカス『リトアニアへの旅の追憶』
今では想像しづらいだろうが80年代半ばくらいまでは韓国より北朝鮮のほうが豊かで正当な国だという印象が韓国でも強かったようだ。従って北朝鮮に憧れている人も少なくなかった。実は今もいる。
韓国にいる友人の安悪喜さんは大学時代「北朝鮮は地上の楽園だ」と本当に信じている先輩とその話題で議論したことがあるという。「北に自由がないって言うなら証明してみろ」という先輩の問いに安さんが投げた一言で議論が終わったそうだ。
「だって北朝鮮にはロックンロールがないじゃないですか」
今ではその先輩みたいな人は珍奇な存在だが、80年代以降も北朝鮮に憧れていた大学生は結構いたようだ。韓国の大学で教員になっている私の知り合いもその一人で「あの時は主体思想の勉強会とかやってて金日成のことは『首領様』と呼んでたね…」と話したことがある。今はもちろんやってないから聞けた話だ。
当時の軍事政権下の韓国では 「民族近代化」、「人間改造」などのスローガンが叫ばれていた。非民主的な体制を正当化するためには民族主義を利用せざるを得なかったのである。近代化に必要な資金は反共の防波堤役を自任して日米から調達し、近代化のための「人間改造」は徴兵制がやってくれた。